駅馬もよく耳にする言葉です。
「駅馬があるから、一か所に長くはいられないでしょう」「よその土地で苦労する運命ですね」
引っ越しが多かったり、転職が多かったりすると、「駅馬のせいだ」と言われることもあります。
この言葉がどこから来たのか、そして今はなぜそのまま信じると外れやすいのかを見ていきましょう。
駅馬とは何か
駅馬は宿駅の馬です。昔は道のあちこちに駅を置き、馬を乗り継いで公文書や知らせを伝えました。
明代の命理書『三命通会』は、駅馬をまさにこの制度にたとえて説明しています。
猶今之置郵傳命,迎來送往,氣藏如驛,氣動如馬。
今、駅を置いて命令を伝え、迎えては送り出すのと同じである。気がとどまれば駅であり、気が動けば馬である。
同じ書物はこうも言います。
馬有傳受之氣,有代勞之功
馬には受けて伝える気があり、人に代わって労を担う功がある。
駅馬になる字は寅・申・巳・亥です。それぞれ春・秋・夏・冬が始まる字で、気が動き始める位置です。
ですから駅馬の本来の意味は、「動いて何かをつなぎ、伝える力」です。ただ漂うのではなく、こちらのものをあちらへ運ぶことです。
昔はなぜ駅馬を流れ者の運命と読んだのか
昔の社会では、土地に根づいて暮らすのが当たり前でした。生まれた村で田畑を耕し、その土に葬られる人生です。
その時代に家を離れる理由は、たいてい歓迎できないものでした。
道そのものも危険でした。盗賊や病があり、よその土地で亡くなれば故郷に戻ることも難しかったのです。
ですから「動く力が大きい」という構造は、そのまま「家を離れて苦労する」になりました。その時代の暮らしでは、それなりに筋の通る結びつきでした。
今は何が変わったか:動くことが仕事になった
駅馬があるという構造は今も同じです。一か所にとどまるより、動くことで力が出る人生という意味です。
変わったのは、その力がどこに表れるかです。今は動くことが経歴になり、機会になり、収入になります。
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実際に引っ越しや転職が多い人生: 昔の解釈がそのまま表れることも、もちろんあります。
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国の外へ出る仕事: 海外勤務、留学、駐在員のように、見知らぬ土地で足場を築く仕事
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つないで運ぶ仕事: 貿易、物流、航空、配送のように、こちらのものをあちらへ移す仕事
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現場を回る仕事: 出張営業、コンサルティング、取材、建設のように、机より現場で成果が出る仕事
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あいだに立って伝える仕事: 通訳、仲介、外交のように、古い書物の言う「受けて伝える」仕事
昔の宿駅が担っていた仕事は、今では数多くの職業に分かれました。駅馬がある人は、動きが生きる道が何本も開かれているのであって、必ず流れ者になるわけではありません。
実は古い書物も駅馬を凶とだけは見なかった
『三命通会』でさえ、駅馬を一通りには読みませんでした。駅馬に「鞍」があるかどうかを問いました。
攀鞍有位 … 人得之貴也
(駅馬に)鞍の位置がそろっていれば……その人は貴くなる。
反対に、こういう場合にだけ漂うと言いました。
驛馬微劣,財命休囚,則塗炭辛勤,終無成立。
駅馬が弱く、財と命が衰えていれば、苦労して努めても、ついに何も成し遂げない。
馬に鞍が載れば遠くまで行けるが、鞍がなければただ漂うだけ、ということです。流れ者の運命とは、駅馬そのものではなく、駅馬を使う備えがない場合の話でした。
同じ書物は、出入りが多く「外で財と禄を得る(獲外方財祿)」駅馬も書き留めています。
『滴天髄』はさらに進んで、駅馬そのものを低く見ていました。第1講で見た一節です。
咸池驛馬縱有驗、總之於理不長。
咸池(桃花)と駅馬は、たとえ当たることがあっても、理から言えば長続きしない。
清代の任鉄樵は「咸池と駅馬は後世の人が作った誤り(後人之謬言)」と言いました。
自分の駅馬はどこで生きるか:かんたんな目安
駅馬だけを見るのではなく、命式のなかで駅馬のそばに何があるかを一緒に見てください。さきほどの「鞍」が、まさにこれです。
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駅馬の字が財星、または建禄にあたる:外を行き来して得る形として読めます。『三命通会』が「外への出入りが多く、よその土地で財と禄を得る(多外方出入,獲外方財祿)」と書いた場合です。貿易、出張営業、海外取引のように、動いたぶんだけ得る仕事です。
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官星がはっきりしている:組織が送り出す移動になりやすくなります。派遣、駐在、多い出張のように、動くことが所属とともにあります。
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印星がはっきりしている:学びに出る移動になりやすくなります。留学、研修、フィールドワークのように、動いたことが学びや資格として積み重なります。
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食傷がはっきりしている:歩き回って伝える仕事になりやすくなります。旅のコンテンツ、取材、通訳のように、見たものを言葉や文章で運ぶ仕事です。
反対に、駅馬のそばに得る場所も支える場所も弱いと、動くことがコストだけで終わりやすくなります。そんなときは、動く前に何を得るかを先に決めておくこと。それが鞍を乗せることです。
まとめ
駅馬の本来の意味
動いてつなぎ、伝える力(宿駅の馬)
同じ
その力が使われる場
兵役・流刑・渡り歩く商い
海外・貿易・物流・現場・通訳・仲介など
駅馬がある
よその土地で苦労、一か所に住めない
動くときに力が出る人生
流れ者になる場合
駅馬があれば
使う備え(鞍)がないとき
古典の判断
「弱ければ漂う」(『三命通会』)
「鞍があれば貴い」(『三命通会』)、「誤り」(『滴天髄』)
命鏡はこう読みます
命鏡は、駅馬を吉凶には使いません。日支を基準に駅馬があれば、「動いてつなぐ力」という才能としてだけ示します。そして『滴天髄』がこの神殺を重視しなかったことも書き添えます。
その力が海外で使われるのか、現場で使われるのか、たびたびの引っ越しとして表れるのかは、命式の字だけでは決まりません。似た気質を持っていた歴史上の人物たちが、その時代にどんな道を選んだのかを見て、今の道と直接比べてみてください。